INTERVIEW

まずは自己紹介をお願いします!

はじめましての方ははじめまして、ピノキオピーと申します!2009年頃からボーカロイドを使って動画投稿をしています。

ピノキオピーさんへのインタビューは、初音ミク公式YouTubeチャンネル内番組「ピアプロTV」クリエイタートークコーナーの続きとなっています。こちらもぜひご覧ください!

ピノキオピーさんにはちょうど先日、MIKU EXPO 2021 Onlineの前座イベント「MIKU EXPO Digital Stars 2021 Online」にご出演いただきました。いかがでしたか?

とても楽しかったです!現場での映像収録が難しく、自作VJでの出演になってしまいましたが、本当は普段のライブスタイルのように歌ってはしゃぐDJをする予定だったので、またいつか実現できたらなと思います。今回、オファーの際に「ボカロではない自分のルーツとなる曲も入れていい」と仰っていただいたので、自由に楽曲をMIXさせていただきました。 特典CDにしか収録されていない、レアなボカロのリミックスもガンガン流せてよかったです。 見ていただいた方々、ありがとうございました! ライブ本編(MIKU EXPO 2021 Online)も見ましたが、ARを使ったミクがそこにいるかのような映像を逆手にとって、バンドメンバーがいるリアル映像から異次元のような場所に移動したり…とてもおもしろかったですね。 僕の楽曲「すきなことだけでいいです」の演奏でも、ちっちゃいミク(MYMIKU)がばーっと落ちてきたりして、良かったです。

ライブ中、ファンの方がARアプリで真っ白いミクに自由に着色したMYMIKUが登場したんですよね。Twitterではファンの方がアイマイナちゃん風の着色をしているものもあったようです。

みんなが参加してる感じが出ていて、ボーカロイドカルチャーを感じられてよかったです。アイマイナちゃん風のMYMIKUはリプライでもいただいて見てました(笑)

未だお客さんをいれてのライブが難しい状況が続きますが、ピノキオピーさんは積極的に配信でのライブを行われている印象です。配信ライブについてはどういう思いで行われていますか?

元々2020年に全国ツアーを組んでいたものの、延期・中止になってしまい、そのままではあまりにも残念すぎるので配信ライブを行いました。 配信ライブは、スタッフさんに支えられて実現できているので、ほんとに感謝しかないです。 2015年からライブをやっていて、ライブDVDやBlu-rayを出してはいましたが、どんなライブをしているのか気軽に確認できる手段がなかったので、配信を通して沢山の人に知ってもらえるきっかけになったかなと前向きに捉えています。 配信のアーカイブも残っているので、ぜひ見てほしいです。 本当は現地に来てもらって、実際に見てもらえたほうが映像でみるより何倍も楽しいと思うので、情勢が落ち着いたら、ぜひ足を運んでいただきたいです!

プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミクに書き下ろしされた「セカイはまだ始まってすらいない」が、7月21日にCD発売・KARENTからの配信となります。改めてこの曲を描き下ろしたときのエピソードがあれば教えてください。

キャラクターのイラストと、「廃遊園地からの復興」というワードをいただき、そこから膨らませて、ボカロで活動している自分の心境や実情を重ねながら作らせていただきました。 当時はボカロ周りの雰囲気も落ち着いていたので、「盛り上げていこう!」みたいな気持ちで書いたのを覚えています。 昨今のプロセカの盛り上がりも含め、ボカロ再燃の空気を感じるので、とても感慨深いものがあります。

ピノキオピーさんの活動を拝見してると、いろんな方と対談やコラボをされてるなという印象です。そういった活動についてはどう気持ちで取り組まれていますか?

外部の方とコラボや対談するときは、結構緊張しますね…つんく♂さんと対談させて頂いたときは、すごく勉強になることをたくさんおっしゃって頂いたので、その後の活動に生かさせてもらってます。 一緒に面白いことができたらいいなと思いつつ、自分がビビってしまうところがあるので、自信を持って取り組めたらいいなぁと思ってます。

音楽に限らず、お好きなことや趣味などがあれば、教えてください。

テレビバラエティが好きでよく見てます。 現在、呼吸するように見ているのは関西テレビ「座王」という大喜利番組で、アスリートのスーパープレイを見るような心持ちで楽しんでいます。 ベジータモノマネ芸人のR藤本さんがシンプルに大喜利が強かったり、ロングコードダディの堂前さんの大喜利が巧みだったり、しずる池田さんの生き生きとしたサイコ発言が面白かったり、関東の番組ではノーマークな魅力が詰まっています。 この番組で優勝しすぎて「鬼」呼ばわりされている笑い飯の西田さんが、 IPPONに出演して優勝した際は座王ファンとしてとてもテンションがあがりました。

どんな子供時代を過ごされましたか?

小学生の頃は、特に学校の課題でもなんでもないのに学級新聞を書いて友達に配ったり、アニメの替え歌を作ってカセットに録音したり、ノートにオリジナルのゲームを書いてみんなにやらせたり、自分が面白いと思ったことを、みんなに共有したくてウズウズしていたのを覚えています。 リズム音がでる機能があるキーボードを使いながら、友達と適当に歌い合ったりしていましたね。

サイファーみたいですね!(笑)中学、高校でも変わらずだったんですか?

自分は中学生になっても替え歌とか作っていこうと思ってたんですけど、周りの友達は少しずつやってくれなくなっていきましたね…。ファッションや異性を意識し始める年頃だったんだと思います。高校生になると自分はギターを弾くようになっていたので、そこでもまた自分の作ったものを友達に聞かせたりしていましたが、やっぱり小学生のときが一番みんなで楽しく作っていた感じですね。 ボカロ曲を投稿し始めたときは、「みんなで楽しむ」という雰囲気が小学生ぶりに巡り巡って帰ってきた!という印象があります。

KARENTスタッフも小学生のとき作ったものを友達に見せつけていた恥ずかしい黒歴史が蘇りました(笑)

いや、黒歴史はその人の捉え方次第でいいものだと思いますよ!黒歴史は、その人から出る創作意欲の塊ですから…子供のときに作った厨二設定のファンタジーでも、今見返すと面白い部分があったりするし、胸張って良いんじゃないかなと思います!

最近ハマっているものはありますか?

ちいかわ※にハマってます。 SNSウケの良さそうな可愛いキャラたちが労働と称したモンスター討伐をしていたり、不穏な世界設定が裏にあるギャップが最高です。 草むしり試験という試験があり、それに受かった人、受からなかった人同士の友達の距離感を描いたくだりが特に最高でした。

※イラストレーター・ナガノさんによる作品『なんか小さくてかわいいやつ』に登場するキャラクターおよび作品の略称。

ちいかわの世界観は、ピノキオピーさんの持ってる世界観にも通ずるものがあるような気がしました。

そうですね、とっつきやすくてかわいく見えるけど、中身は実は可愛いだけじゃない、というのは僕も好きです。藤子・F・不二雄さんの大人向けのSF短編にもすごく影響を受けています。絵柄からドラえもんのようなイメージで読みすすめると、痛い目をみる展開が待ってる、という話が多いんです。そういう漫画を読んで僕が形成されてきたので、ちいかわにも同じものを感じて、惹かれます。

お話を伺っていると、ピノキオピーさんは特に「笑い」からインスピレーションを受けることが多いのでは、と感じたのですがどうでしょうか?

多いですね。創作物を見ると「感動」とか「すごい!」とか「泣ける」とか、いろんな感情を得られると思うんですが、「面白い」「笑える」という感情が自分としては最上だと感じるんですね。実は創作する人の中で一番リスペクトを持ってるのは、お笑い芸人さんなんです。これから人を笑わせます!と宣言してから笑わせるなんて、一番難しいと思うんです。日常において「ユーモア」は欠かせないものですし、僕にとっても生きていく上で「ユーモア」が重要だと思っていて、創作するときも大事にしてます。なので、ユーモアや面白みを感じられる作品にはリスペクトを覚えますね。

最近楽しかったことは何かありますか?

瞬間的な閃きが今年は多くて、曲を作るのが楽しいです。たくさん作っています。 まだアルバム「ラヴ」発売前ですが、もう「ラヴ」に収録されない新曲も完成しているので早く発表したいです。

アルバム「ラヴ」といえば、先日公開されていた「ノンブレス・オブリージュ」も拝聴いたしました。以前Twitterでピノキオピーさんが紹介されていた、朝井リョウさんの「正欲」という本と、関連性があるのかなと思ったのですが…

実はそういうことはなくて、本を知る前に「ノンブレス・オブリージュ」は大方出来上がっていました。この本には及びませんが、読んでいて、近しいものはたしかに感じましたね。「正欲」、すごく面白かったです!

なるほど、そうなんですね!それでは最後に宣伝をどうぞ!

2021年8月11日に5thアルバム「ラヴ」が全国流通でリリースされます!各店舗特典の情報なども出てますので、ぜひぜひチェックしてください。よろしくお願いいたします。

ピノキオピーさん、ありがとうございました!

KARENTで配信中のピノキオピーさんの楽曲はこちら!

ピノキオピーさんにおすすめの楽曲を聴いてみました!

KARENTユーザーに聞いてみてほしい、ボカロ以外の楽曲3選

最近、情報過多で疲れちゃうので、ストレートでホッとする曲を3つ。

  1. 「四季 / クリープハイプ」

    気取らない歌詞と、気張ってない展開がスッと入ってくる素敵な曲です。

  2. 「猫がニャ~て犬がワンッ(with 二階堂和美) / neco眠る」

    最近、犬飼いたいな~と思いながら聴いてます。

  3. 「マーベラス / Have a Nice Day!」

    「素晴らしい歌がここにはあって わたしのこころを困らせたりする」という歌詞とメロディの純度が高すぎてグッときます。

無人島に3つだけ音楽をもっていけるとしたら、3選

アルバムでまとめました。

  1. 「三日月ロック / スピッツ」

    スピッツの中でも一二を争うくらい好きな曲「夜を駆ける」が収録されているアルバムです。 スピッツのパブリック・イメージのポップさと、本来のロックで尖った部分が絶妙な不安定を持って同居している時期で、今聞いても本当にワクワクします。

  2. 「VOXXX / 電気グルーヴ」

    音楽も言葉選びもかなりどうかしていて、狂気にパラメータを全振りした電気グルーヴの一つの到達点のアルバムです。音作りという面では近年のアルバムの方が大好きですが、自分に影響を与えたという点でこちらを選びました。

  3. 「レティクル座妄想 / 筋肉少女帯」

    このアルバムは一見、狂気や妄想に満ちたアルバムなのですが、被害/加害妄想、選民意識に対して「本当にそうか?」と問いかける現実的な冷静さがあり、学生時代凝り固まっていた価値観をぶっ壊される衝撃を受けました。自分の価値観を形成する親のようなアルバムです。 自分が書く歌詞はオーケンさんの言葉の影響が強いです。

ピノキオピー

2009年に動画共有サイトにてボーカロイドを用いた楽曲を発表し、ピノキオピーとして活動開始。

以降も精力的にオリジナル楽曲を発表しつつ、イラストやMVの制作、他アーティストへの楽曲提供など多方面で活動している。

ライブでは電子と肉体の共演・融合を基軸に、ドラムとスクラッチ&サンプラーをサポートメンバーに加えたバンドセットでのパフォーマンスを行っている。

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SPECIAL INTERVIEW ピノキオピーインタビュー